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イチイイチイ科 | 針葉樹

イチイ写真1
原産地
国内では全国的に広く分布しており、特に北海道では優良木が取れるといわれています。
また、全国的に確認されていますが九州の南部では殆ど見られないようです。
海外においては中国、ロシアの東部などに分布しています。
比重
気乾比重:0.45~0.62
強度
硬い
イチイの木
その他の名称
一位、アララギ、スオウ、スダオノキ、紫松、水松、オンコなど。
学名:[Taxus cuspidata]
価格
高価
色調
辺材は狭く白色で心材は紅褐色をしています。辺材、心材の境界はきわめて明瞭ではっきりしています。
特徴
イチイの木の名前の由来は仁徳天皇がこの木で杓(しゃく)を作らせ、その見事な出来栄えに感激した事から、当時の最高位の官位を表す「正一位」授けたという逸話からきていると言われています。

イチイの樹木は岐阜県の位山が有名な産地であり、その事が理由となって岐阜県の県木にもなっています。一般的に樹齢を重ねたものほど、木肌が綺麗で色艶が良いものが多いとされます。
あまり大きくは育たない樹種で胸高直径は75cmほどとされていますが良材が多いとされる北海道産のものは1メートルを超す場合もあります。また、樹齢が古いほど木肌が綺麗になる傾向があるようです。

乾燥については難しい事はなく、特に注意するような事はありません。保存性に関しても良好です。

木材としての特徴としては加工性が良く、軽くて粘りがあり、狂いもあまり見られず、弾力性に富むという木材に必要な要素を多く持っている優れた樹種だと言えます。
その加工性の高さから繊細な彫りに向いているとされ、家具の装飾部分や木彫り彫刻の材料として古くから親しまれてきました。
イチイは針葉樹としては硬さのある木としても知られていますが、鉱物質が堆積し筋状になった鉱条(かなすじ)と呼ばれている部位が現れる事があり、その鉱条に刃先などが触れると刃が欠ける事もあるのでその点は注意が必要です。

色味が経年によって変化する木として知られており、製材したばかりのイチイの木材はオレンジ色に近い明るい色をしていますが時間が経つとじょじょに褐色を帯びて落ち着いた色になっていきます。
用途
イチイは見台、仏壇などの和家具の材料として古くから使われ、建材としては床の間の床柱、落掛などに利用されています。
特徴を活かした利用方法としては彫刻、櫛、お盆、茶筒などがあげられ、イチイで制作されたこれらの上質の木工製品は現在でも価値が高いものとして珍重され続けています。

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